昔は教員(公務員)と言えば、定年退職するまで働き続けることが当たり前というイメージがありました。
働き方が多様化し転職の敷居が低くなった今、教職員の中にも途中で仕事を辞めたいと考える人も現れています。
本記事では、中途退職する教員ならではの不安、貰える退職金、今後のキャリアプランについて解説をしています。
目次
教員を中途退職することは珍しいことではない
教員と言えば定年退職という考え方は、今となってはもう古い考え方でしょう。
総務省が発表している「地方公務員の退職状況等調査」によると、平成28年の年間退職者は41,381名とされています。
退職者の内、中途退職をした人の人数は約4,000人で、約10%が定年を迎える前に退職をしています。
平成28年 退職者数 | 41,381名 |
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平成28年 定年退職 | 25,792名 |
平成28年 中途退職 | 4,175名 |
中途退職をする人の数は年々増加傾向にあり、平成29年のデータでは約1,5倍の7,000人ほどに増えてます。
平成28年 中途退職 | 4,175名 |
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平成29年 中途退職 | 7,123名 |
中途退職する教員が増えている理由には、「転職が浸透してきていること」、「教員のブラックさが話題となっていること」が考えられます。
やりたいことが他にある人や、仕事を続けることが辛いと感じている人は我慢するのではなく、転職するという選択を取っています。
教員だからといって縛られることなく、自由に仕事を選ぶという時代に変わってきています。
fa-link関連リンク「教員、教師はブラックすぎる」辞めたいと感じる9つの理由と実際の離職率
中途退職を考える教員の不安
教員が中途退職することは珍しいことではなく、実際に退職している人もたくさんいる事がわかりました。
しかし、いざ自分が辞めるとなると不安な点はいくつもあります。
教員が中途退職する上で不安になることは概ね以下の4つでしょう。
- 生活費/金銭面の不安
- 転職先が見つかるかの不安
- 転職先で満足できるかどうかの不安
- もし教員に復帰できるかどうかの不安
生活費、金銭面の不安
転職をする上で、不安になることは収入がない期間が発生してしまうことです。
とくに教員のような「公務員」ですと、民間企業の労働者と違って失業保険は使えません。
転職先を見つけてから退職する場合は、給料を受け取り続けることができますが、すぐに退職することを考えている人は不安で仕方ありません。
ですが、お金の心配はさほどする必要がありません。
なぜなら退職金など、教員には退職時に貰えるお金がたくさんあるからです。後述で詳しく金額などを解説しますが、どなたでも転職に必要な数カ月間を生きる分だけは用意に手に入ります。
転職先が見つかるかの不安
転職先についても心配する必要はありません。
現在、有効求人倍率は上げっており1人あたりの求人数の方が多い状態が続いています。さらに「転職エージェント」という1人1人にあった求人を無料で紹介してくれるサービスも普及しています。
転職活動をして、再就職先が見つからないという事態にはまずならないでしょう。
とくに20代から30代前半の方であれば、容易に自分が望んだ職業につく事ができるでしょう。
転職先で満足できるかどうかの不安
1人で転職活動をした場合、もしかするとあまり満足できない仕事に付いてしまうかもしれません。
しかし、上記紹介した「転職エージェント」を活用して、会社の内情をしっかりリサーチすればミスマッチしてしまうリスクは軽減できます。
大切な自分のなりたい職業をしっかりイメージすることであり、妥協せず時間をかけてでも企業を探すことで失敗は防ぐことができます。
教員に復帰できるかどうかの不安
教職に復帰することはさほど難しいことではありません。
転職活動を進めてみてダメだった場合や、実際に民間企業で働いてみて肌に合わないと感じた場合は、教員に戻ることも可能です。
常勤講師にすぐに戻ることは多少難しですが、非常勤講師や臨時採用などの枠を含めると多数の求人が出ています。講師登録をすれば、学校側から声がかかることもあるでしょう。
うまくいかなかった場合のリスクが少なく、いつでも前職に戻れることは教員免許を持つ人の特権です。
教員が中途退職したときにもらえるお金について
退職金がもらえるかどうか
退職金がもらえるかどうかは、あなたが勤める学校が私立か公立かによって異なります。
公立学校であれば、定年退職や中途退職に関係なく退職金が貰えます。ただし、在職期間が6ヶ月未満の方や懲戒処分を受けた人は例外となります。
一方、私立学校はきっちりとしたルールがありません。退職金があるのか、いくら貰えるのかは学校ごとに異なるので、退職前に自分で確認しなければいけません。
退職した時にもらえるお金を全種類紹介
教員を退職する際に貰えるお金は主に5種類です。
- 教職員科:退職金
- 学校生協:出資金の返還
- 教職員共済:退職見舞金
- 厚生会:退職返還金
- 学校共済:年金
民間企業と比べて一番大きな違いは、半年以上勤めていれば絶対に退職金が発生することです。病気休職中も支給額は減りますが在職期間としてカウントしてくれます。
失業保険がもらえないことは手痛いですが、その分、退職金がしっかりと貰えるので金銭面での心配はさほどせずとも大丈夫です。
退職金のほか、学校生協に加入していた人は加盟金の返金(100円〜2000円)、教職員共済に加入していた人は退職見舞金、厚生会に加入していた人は退職返還金がもらえます。
さらに、数十年後になってしまいますが公務員として働いていた期間の年金は公立学校共済組合から支給されます。
退職金を決める4つのポイント
退職金は中途退職でも受け取る事ができます。しかし、定年退職に比べると金額は低くなります。
退職の種類を含め、退職金の金額を決めるポイントは4種類あります。
- 退職の種類
- 勤続年数
- 月給
- 調整額
退職金を決定するポイントの1つ目は、退職の種類です。
退職金は20代前半で前半で退職をするよりも、60代で定年退職する方がもちろん高く150倍以上の差が出ます。
2つ目は勤続年数です。
同じ中途退職でも勤続年数が長い方が退職金は高くなります。また、同じ定年退職でも30代40代で公務員になった人は金額が低くなります。
3つ目は月給です。
退職金は月給に様々な要素が掛け算されて算出されます。
4つ目は調整額です。
調整額とは、在職中の貢献度に応じてプラスされるお金です。貢献度を表す11段階の評価区分があり、在職中にコツコツ評価を受けていた人は退職金が高くなります。
年齢別退職金の平均額
年齢 | 退職金 |
---|---|
20代前半 | 約13万円 |
20代後半 | 約17万円 |
30代前半 | 約26万円 |
30代後半 | 約50万円 |
40代前半 | 約70万円 |
40代後半 | 約140万円 |
50代前半 | 約400万円 |
50代後半 | 約1,300万円 |
60代前半(定年) | 約2,100万円 |
年齢によって退職金は異なりますが、20代〜30代前半でも生活の足しとなるくらいの退職金は貰えます。
また、退職金がドカンと増えるのは50代からとなります。
20代〜30代まではさほど変化がないので、若いうちに職員を続けることに限界を感じている人は、退職金を気にして長く働く必要はないでしょう。
参考サイト:退職手当金計算シミュレーション
参考サイト:退職一時金の返還について|国家公務員共済組合
教員のスムーズに中途退職する方法
新学期前に退職する場合
1月〜2月ごろに退職の相談をして、新学期前に退職することが一般的な教員の退職手順です。
このタイミングであれば、特別な工夫をせずともすんなりと退職できるでしょう。
もし余裕があればなんとか新学期までは耐えることを意識してみてください。
また、民間企業と違い「最短2週間前までに報告すればOK」というルールは公務員には当てはまりません。急な退職はできないのであらかじめ話を通しておくことを忘れないようにしてください。
長期休暇に退職する場合
校長や教頭から許可さえもらえれば退職はできるのですが、学期の途中で退職する場合は、スムーズに話を進めることは難しいでしょう。
学期途中で辞める場合は、一番被害を最小限に抑えられる「長期休暇中」での退職を検討するべきです。
- 夏休み(8月いっぱい)→6月中に相談
- 冬休み(12月いっぱい)→11月中に相談
学期末以外で、教員が退職するタイミングは「8月」と「12月」の2つしかなく2つの月以外で退職する場合、トラブルになってしまう可能性が高いです。
学期途中に退職する場合
学期末や、長期休暇中でなかったとしても辞めることはできます。
第十四条 職員は、退職しようとするときは、特別の事由がある場合を除き、退職しようとする日の前十日までに、退職願を提出しなければならない。
特別の事由があり認めてもらえた場合のみですが、東京都教育委員会職員服務規程には「10日前までには退職届を提出するように」と記載があります。相談するだけでもしてみると良いでしょう。
もし実際に退職する場合は、周りに大きな迷惑がかかってしまうので、同僚から冷たい目でみられてしまうことも覚悟しなければいけません。
もし、4月や8月以外で退職する場合は「退職代行」を利用してみてもいいでしょう。退職代行を使えば公務員であろうと即日で退職をすることができます。自分で退職を進めるよりは遥かにスムーズに話が進むので、自信がない人はぜひ使ってみてください。
退職代行サービスについて詳しく知りたい人は「退職代行サービスおすすめランキング!人気業者39社を徹底比較【いますぐ辞めたい方必見!】」も参考にしてください。
教員を中途退職して成功した人の体験談
実際にSNSやネット上で教員を中途退職した人の声を探してみると、すぐに多くの意見が見つかりました。
中途退職をして後悔している人は少なく、「もっと刺激のある仕事に移れた」、「残業時間が減った」などプラスの意見が目立っています。
現状に不満ばかり言う人は多いです😅
でも、その状態を変えようとして努力する人は本当に少ない。
何の刺激もない仕事を、後30年も続けると考えたら、私は吐き気がします😫
生徒が成長するのに、自分は成長できない…
悔しいので、教師からの転職を決意しました😌
— masa@教師→エンジニア&投資家 (@masanet17) 2019年11月12日
僕が教員から転職したわけ
◆土日も部活
自分の家庭は崩壊
2歳の長男は常に泣いてる
幸せになるために結婚したのに何やってんだ僕は…◆教育困難校、保護者からのクレームで精神がもう限界
◆「今月1日しか休んでないわ…」管理職をみてたら未来に希望がない
転職にはひとそれぞれドラマがある
— さとる@教師からの転職 (@SatoruTeacher) 2019年11月17日
転職して落ち着いたら
出版するのもありやな
教師からの転職
多分需要はあると思う— あい*教育問題を漫画で伝える人(教員からの転職) (@Ai_chii2) 2019年11月12日
いや、正直言うとだね。
教員やめてから
残業が1日多くて1時間
それ以上残業すると止められる
素直に感情表現できる
夜、湯船につかれる
目の下のくまなくなる
業務改善して褒められる
理不尽に抗議したら意外といける…うん。自分は転職先の方が向いてたんだな。
— 馬 (@lDYKD8x1Pf0mQtp) 2019年11月12日
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