現役自衛隊員の中には、自衛隊を辞めたいと考えながら勤務している方が多くいます。
退職をする上での不安や再就職の不安から、辞めたいと思いつつもなかなか動き出せていない方が大半です。
そこで本記事では、本気で自衛隊を辞めたいと考えている方に向け自衛隊員の退職理由、辞めるべきかの判断ポイント、おすすめの転職先について解説をしています。
目次
自衛隊を辞めたいと思う理由、原因
自衛隊員が退職を考える理由は、以下の3種類に分類することができます。
- 将来性、仕事内容の問題
- 人間関係の問題
- 組織の性質、雰囲気の問題
「こんな理由で退職をしてしまっていいのか」とお悩みの方は、退職を考えるキッカケとなっている一般的な要因を確認してみてください。
①将来性、仕事内容の問題
- 日々過酷なトレーニングに耐えなくてはいけない
- プライベートの時間を作る事ができない
- 繰り返しの日々に不安を感じる
- 閉鎖的な社会で生きるため、世間知らずになりかねない
- 将来幹部になったとしても、退屈なデスクワークが待っている
自衛隊は災害など、出動要請があった場合は国民を守り、多くの方から感謝される非常に有意義な仕事です。
しかし、普段の日々はトレーニングやデスクワークの繰り返しで、「このままでいいのだろうか」「続けられる自信がない」と不安に感じてしまう人が多いようです。
また、トレーニングやデスクワークは自衛隊独自の経験であり、どの企業からも優遇されるスキルは身につきません。自衛隊を辞めたいと考えている人は「これ以上身を置き続ける必要がない」判断をするでしょう。
②人間関係の問題
- 上司からのパワハラに耐えられない
- 自分の時間を取ることができない
- 縦社会(体育会系)の雰囲気に耐えられない
- いじめ、嫌がらせ、仲間はずれが起きている
自衛隊員は、全国各地の駐屯地で勤務をすることになります。四六時中、配属された隊のメンバーと行動をともにすることになります。
職場の人間との関係が濃すぎるというのも、人によってはストレスとなります。
また、所属する隊の中にいじめがある場合や、部下に暴力を振るう上司がいる場合は退職を考えざるを得ません。
ネット上や、SNSなどで退職者の意見を聞いてみても、「隊の当たり外れ」は存在するようです。
③組織の性質、雰囲気の問題
- 消灯時間、起床時間が徹底的に管理されている
- いつ何時も、不測事態の際は出動しなければいけない
- 隊独自のルールについていけない
- 風通しの悪い組織体系に不満を感じる
仕事内容や人間関係だけでなく、自衛隊での生活そのものが嫌で退職を決意される方も多くいます。
自衛隊員は閉鎖的な環境で、独特のルールに従って生活をしています。
「徹底的に決められた生活リズム」、「意見を言っても通ることのない縦社会」、「気を抜くことができない休暇」など、一般人には考えるだけでも嫌になってしいそうなポイントが多数あります。
組織にとっては、今まで変わることなく受け継がれてきた文化ですが、この独自の雰囲気が合わないと感じる方も多いようです。
自衛隊の実際の離職率について
一般的に、自衛隊員の離職率は女性で約2%、男性で1%と言われています。
公務員の中では若干高い程度ですが、民間企業と比べると圧倒的に低い数値となっています。
上記で解説をした通り、あれだけ過酷な環境にいながら意外にも離職率が低い理由は自衛隊員は強い責任感と信念を持っているためです。
辛い、辞めたいと感じたとしても我慢をしてしまう人が多いのです。
また、暴力的な上司に対して恐怖心を持っていることや、隊員たちの関係が濃すぎることも退職を言い出せず我慢してしまう要因となっています。
国家公務員の自殺率は自衛隊がトップ
「mynewsjapan」の発表によると、国家公務員の中でも自衛隊の自殺率は37%と、全体1位となっています。
画像参照:mynewsjapan
辞めたいと考えているにも関わらず、我慢をし続ける人が多い自衛隊の現状が「自殺率」に顕著に現れてしまっています。
自衛隊員が仕事を辞めるベストなタイミング
自衛隊員が退職できるタイミングは以下の3種類です。
- 任期途中退職
- 任期満了退職
- 定年退職
自衛隊には、任期と呼ばれる働く期間が定められています。
「一般の隊員(陸士)」は2年単位、「上層部(曹、准尉、幹部)」は53〜55歳までが任期となり、任期が終了すると任期満了退職、もしくは定年退職となります。
任期に沿って退職をすることが一般的ですが、上司からの合意を貰うことで隊員は任期途中にも退職をすることができます。
もちろん、任期を終えて退職をするほうが円満に話が進みます。
しかし、自殺に追い込まれるほど勤務し続けることが苦しいのであれば、上官や隊員の引き止めに屈することなく、退職をすべきでしょう。
自衛隊を辞めて後悔しないために知っておきたいポイント
自衛隊は任期途中であったとしても、退職をすることができると解説しました。
しかし、余裕がある方が無責任に辞めるべきではありません。以下に退職に成功する人と、失敗する人の違いをまとめています。
- 自分の適正をしっかりと把握している
- 具体的にやりたいことがあり、転職先が決まっている
- 自衛隊、勤務中に多くの資格を獲得した
- 隊員としてなし得たこと、身についたことがある
転職に成功する人は、自衛隊の仕事の何が合わなかったのかをきちんと理解しています。
風通しの悪い特性に不満を持った方は、若手でも実力次第で上に上がれるベンチャー企業を選んだり、自分の時間や家族との時間を大切にしたいと考えた方はフレックスタイム制の企業を選ぶことで、快適にビジネスライフを送っています。
自分にとって何を一番優先するのかはきちんと整理しておくべきでしょう。
- 辛いと感じる理由を明確にできていない
- 内定が取れそうという理由で退職先を決めてしまう
- 自衛隊の価値観を大きく引きずっている
- 自衛隊を辞めることのデメリットを把握していない
反対に、自衛隊からの転職に失敗してしまう人は「なんとなく」で転職先を決めてしまっていることが多いです。
自分が満足するための1番の条件が定まっていないため、転職先の企業でも仕事に対する熱意が出ず、すぐに退職をしてしまうことがあります。
自衛隊を辞める前にやっておくべきこと4つ
自衛隊からの転職に失敗する人の特徴を踏まえ、退職をする前にやっておくべきことを4つ紹介します。
1.自衛隊の再就職訓練で資格をとっておく
自衛隊には、救護班と呼ばれる再就職を支援してくれる部隊があります。
休日などに救護班を訪れ、資格講座に申込みをしたり、実際に再就職の紹介をしてもらうことが転職の第一歩となります。
もちろん興味のない資格や、ミスマッチな企業を紹介してもらっても意味がありません。
求人情報を眺めに行くのではなく、やりたいことをベースに求人や資格を探すようにしましょう。
2.企業は自衛隊の支援だけでなく、自分でも探す
自分の求める企業が自衛隊の再就職支援にはないとわかった場合、妥協して紹介可能な範囲から選ぶのではなく、民間の就職支援も受けるべきでしょう。
自衛隊の再就職支援はたしかに手厚いですが、民間の転職エージェントと比べると紹介できる企業数は劣っています。
転職で後悔をしないためには、支援を頼りのするのではなく自分でも動き出すことが大切です。
3.在職中に”公務員ブランド”を最大限活用する
転職先選びには成功をしたものの、公務員としても魅力を捨ててしまったことで後悔をする方がいます。
- 賃貸契約
- ローンの契約
- クレジットカードの発行
- 融資
上記の様に、審査が必要なサービスは、信頼性の高い公務員の方が利用しやすいケースがあります。
もし、退職前に契約できるものであれば自分が公務員であるうちに手続きを済ませてしまうと良いでしょう。
4.空いた時間を活かしてスキルを付ける
退職日が決定し、作業が落ち着き始めると意外にも時間に余裕が持てるようになります。
リフレッシュも大切ですが、その間に次の職場で必要なスキルを磨くことがスタートダッシュの大きな秘訣です。
最初にイメージが「面倒を見なくてはいけない新人」よりも「頼れる即戦力」の方が、気持ちよく仕事ができるはずです。
自衛隊を退職後の再就職先について
自衛隊の再就職支援を利用される方は「保管、警備関係の会社」や「運送会社」に転職する人が多くいます。
- 保安、警備関係
- 運送関係
- 一般事務
- 寮監
上記のほか、資格講座を受講した方は建築、土木、機械、電気、医療などの「技術者」として働ける会社を紹介してもらい、転職に成功しています。
自衛隊の支援に頼らず、民間の転職サービスや自力で転職先を決めた方は「WEB関係」や「IT関係」などと言った、自衛隊とはあまり関係性のない職業に挑戦をしています。
- WEB関係
- IT関係
- 警備会社
- 運送会社
- サービス業
- 介護福祉関係
「元自衛隊員」というだけで、採用担当者は「忍耐強い点」や「責任感がある点」、「体力がある点」、「明るくハキハキしている点」を評価してくれます。
人材価値は申し分なく、転職は非常に有利に進められます。経験のない職種の会社からの内定も比較的取りやすいでしょう。
自衛隊からの転職を成功させる3つのコツ
最後に、自衛隊方の転職を成功させるためのコツを紹介します。
1.穏便に自衛隊を辞める
転職に成功するためには、まず波風が立てることなく退職をする必要があります。
円満に辞めるためには以下のポイントに注意しましょう。
- 自衛隊独自の退職ルールを理解する
- 1番に伝えるべきは直属の上司
- なるべく任期満了時に退職する
自衛隊員が円満に退職するためには、独自の退職のルールを把握しておくことが一番重要です。
とくに覚えておかなくてはいけないことは20日前までに必要書類を上司が任免権者に送らなくてはいけないことです。
1 退職
(1) 依願退職
隊員が退職を申し出たときは、勤務する部隊等の長は退職希望の理由等について調査し、退職を適当と認めた場合は、次に掲げる書類を添えて、退職希望日の原則 20 日前までに任免権者(防衛大臣の任免にかかる隊員にあつては退職希望日の原則 45 日前までに海上幕僚長)に上申するとともに、必要とすれば指揮系統上の上級者に写しを送付する。
20日前までに相談をするのではなく、上司が任免権者に送り終えていなければいけないので、余裕をもって承認を得て、必要書類を預かり、記載して提出していなければいけません。
民間企業であれば、退職代行業者を利用して即日退職することをおすすめしていますが、自衛隊の場合すぐに退職をすることは難しいでしょう。
fa-link関連リンク公務員も退職代行サービスを利用できる?教員や自衛隊など種類別に徹底解説!
2.プロに転職の相談をする
上記でも簡単に解説しましたが、納得の行く転職先を見つけるためには、自衛隊の再就職支援だけではなく民間の転職エージェントに相談をすることが大切です。
自衛隊の再就職サポートに比べ、紹介できる転職先やサポート内容が充実しています。
実際に転職エージェントのサポート内容をまとめています。
- 転職に関する相談は何度でも無料
- ミスマッチのないように、適正を判断した上で仕事を紹介してくれる
- 履歴書や職務経歴書のアドバイスをしてくれる
- 面接、選考の対策をしてくれる
- 面接日の調整や連絡を依頼できる
- 給料など、雇用条件の交渉も依頼できる
なかなか自分の時間が取れない自衛隊員であったとしても、ここまで徹底したサポートをしてくれるのであれば安心でしょう。
ただし、自衛隊の再就職サポートのように資格講座を無料で受ける事はできないので、2つを平行して利用することをおすすめします。
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